STEP4
オプションって、何だろう?

「為替予約」について、理解できましたか?次に、より本格的なデリバティブ商品である「オプション」の基本概念を講義します。先程の質問の解答から勉強をスタートします。

1.堅実な商社Bの悩みとは?

ひき続き、堅実な輸入貿易商社Bの事例をもとに講義をすすめます。ヘッジ目的で「為替予約」を活用した商社Bですが、同時に大きな悩みもありました。それは、「為替予約」をしている限り、1ドルが90円になっても110円で買わなければならないこと。これでは、1ドルを90円で購入できる円高メリットが受けられません。そこで商社Bが新たに取り組んだ「デリバティブ」が「オプション」です。資料11をクリックしてください。

資料11

デリバティブ②:オプション

「為替予約」は、もし相場が自分にとって不利な方向に動いたとしても、予約内容を実行しなければなりません。しかし「オプション」では最初に少額の手数料を払う代わりに、その内容が不利になる場合にはその約束は放棄することができます。掛け捨て保険とイメージは似ていますね。

「オプション=Option」を辞書でひくと、「選択」「選択権」とあります。つまり、「オプション」とは将来、原資産を決まった値段で買う、または売ることができる権利であり、その権利を行使するか放棄するかは「オプション」の購入者が自由に決めることができます。また、買う権利のことをコール、売る権利のことをプットと呼びます。「オプション」は、「為替予約」よりも一歩進んだ、より本格的な「デリバディブ」商品です。

2.「オプション」は古代ギリシャ生まれ。

かつて、古代ギリシャのターレスは、オリーブを収穫するための掘削機を貸す権利を売買して一もうけしたと言われています。オリーブが豊作となると掘削機の賃貸料は上がり、不作となると賃貸料は安くなります。そこで、あらかじめ掘削機を貸す権利を業者から買い取り、賃貸料が高い年だけその権利を行使する、「オプション」の原型が行われていたのです。また、近代のオランダで行われたチューリップの球根相場でも同様の手法がとられました。金融最先端技術といわれる「デリバディブ」も、実は人類の歴史にとけこんだ取引手法なのです。

3."いいとこどり"する権利、それが「オプション」。

自分の都合のいい時だけ権利を行使する権利、それが「オプション」です。事例であげた商社Bの場合でも、1ドルに付き10円のオプション料を払うことで、ドルが高く動いた時には権利を行使してドルを安く買い、ドルが安くなれば権利を放棄してより有利な価格でドルを買うことができます。つまり、"いいとこどり"をする権利がオプションであり、"いいとこどり"の価値を有料で取引するのがオプション取引だとイメージしてください。

では、ここで質問です。

1ドルが120円になった場合、商社Bは1ドルを110円で買う権利を行使したほうが得でしょうか?放棄したほうが得でしょうか?

答は、次に明らかにします。

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