「為替予約」について、理解できましたか?次に、より本格的なデリバティブ商品である「オプション」の基本概念を講義します。先程の質問の解答から勉強をスタートします。
1ドルが120円になった場合、1ドルを110円で買う10円の「オプション」を行使するか、放棄するか?質問の答はわかりましたか。それでは、買う権利=「コールオプション」に的を絞って、円高と円安それぞれの場合をシミュレートし、質問の答を考えてみましょう。まず円安(ドル高)の場合です。資料12をクリックしてください。
一月後に1ドルを110円で買う権利、すなわち110円のドルコールオプションを10円で買った場合を考えてみます。一月後に1ドルが130円になっていた場合には、このオプションを行使して1ドルを110円で買うことにより、オプション料を含めて1ドルを120円で購入することになります。
次に円高(ドル安)の場合です。資料13をクリックしましょう。
一月後に1ドルが90円になった場合はどうでしょうか。この場合はオプションを放棄して現在の為替レート、1ドル=90円でドルを購入することにより、オプション料を含めると1ドルを100円で購入したことになります。
ここで資料14をクリックしてください。
この質問で設定した1ドル=120円の相場では、「オプション」を行使すると10円のオプション料を含めて120円で1ドルを買うことになります。とんとんですね。「オプション」を放棄した場合には、現時点での為替価格120円に10円のオプション料を含め、1ドルに130円を支払わなければなりません。つまり、質問にあげた条件下では、オプションを行使したほうが得です。
つまり、一月後に1ドルが110円より高い(円安)の時は「オプション」を行使しますが、それより安い(円高)の時は「オプション」を放棄したほうが得です。放棄した場合でも、オプション料の10円は支払わなければなりません。
この事例では、円高によって「オプション」を放棄した場合、オプション料の10円は払い損になりました。その代わり、円安でドルの値が大きく上昇しても、オプションを行使すれば1ドルをあらかじめ予約した値段で買うことができます。つまり、オプション料とは、円安に対する"保険料"といえます。では、万人が認める1ドル10円というオプション料金は、どうやって決められるのでしょうか?この追求が、実はデリバティブ理論を究めていくための入り口なのです。
さて、ここで、次の時間まで考えておいてほしい課題を出します。
いま、1ドルの為替相場は110円だと仮定します。
1カ月後に1ドルを110円で買うオプション料、10円。
1カ月後に1ドルを100円で買うオプション料、10円。
1カ月後に1ドルを120円で買うオプション料、10円。
3つの10円のうち、どれがいちばんオプション料としてお得でしょう?
この課題が、デリバティブ理論への入り口。解答は、2時限目で明らかにします。