銀行業務の中に昔から存在する「為替予約」は、デリバティブのイメージをつかむためには格好の題材です。
「デリバティブ」というと、最先端の金融テクノロジーと思われがちですが、実は日本でも江戸時代から広い意味のデリバティブ取引が行われてきました。大阪は堂島の「米の先物取引」がそれです。この取引では、あらかじめ決められた価格で、将来のある時点で米を売買する契約を結びます。決められた価格より米が値上がりすれば得。値下がりすれば損です。ここでも、米という商品自体ではなく、米を決められた価格で売買する権利と義務が取引されたのです。これから勉強する「為替予約」も、比較的昔からあった「デリバティブ」の概念を用いた商品の一つといえます。
「為替予約」とは、将来の決まった期日にある通貨を決まった値段で買う、もしくは売る予約のことです。
「為替予約」は、為替レートという原資産に対する幅広い意味での「デリバティブ」です。銀行業務の中では、かなり以前からある商品ですね。
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どうです?原理はコーヒーチケットと同じでしょう。
一月後の為替レートが円安(たとえば1ドル=130円)になれば、現在の相場より安い110円で1ドルを買える、すなわち価値は20円のプラスとなります。もし円高(たとえば1ドル=90円)になれば、相場より高い110円で1ドルを買わなければならない、すなわち価値は20円のマイナスです。
それでは、「為替予約」は、どんな場合に使われるのでしょうか。大きく2つの使われ方があります。
相場の動向を予測し、値上がりすると見込んだ通貨を安い値段で予約することで収益を得ようとする場合です。これを「投機」といいます。
将来の価格変動を避けるために、現時点で損益を確定するような取引を「ヘッジ取引」といいます。将来、必要な通貨が大きく値上がりするリスクを回避するために、現時点で妥当な価格で買う権利を予約してしまうわけです。
投機目的とヘッジ目的では、「為替予約」はどんな顔を見せるのか?
次に、2つの商社に登場してもらいましょう。