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個人向けビジネス
ライフプランニング研修所
人生のマネープランを提案する、新しいスペシャリストになろう
1時限目 導入研修

かかりつけの金融スペシャリストになろう

こんにちは。第1講の導入研修は、開講式に引き続き私・安等木が担当します。

「かかりつけの医者」という言い方を、よくしますよね。この表現を借りれば、ライフプランニングの仕事はさしずめ「かかりつけの金融スペシャリスト」です。一人一人のお客さまと信頼関係を結び、個人的な悩みや夢を聞き出し、最適な提案を行う。こんな関係を、長く続けていくのですから。

以下に、導入研修の4ステップにわたるテーマをご案内します。

この導入研修では、こうしたライフプランニングの基本的な考え方と提案の方法、そしてもっとも大切な“相談力”について学びましょう。

#Step01銀行は、人生の資金について相談するところ

たとえ平凡な人生であっても、人が生きるためにはたくさんのお金を必要とします。たとえば住宅の購入や子供の教育資金、引退した後の老後の蓄え・・・。こうしたお客さまのライフイベントや将来の計画を見つめ、必要な資金づくりの方法を提案するのがライフプランニングという仕事。それは、思った以上に難しく、だからこそやりがいもある仕事です。

1)君の人生は、いくらだろう?

まず、みなさんに質問をしましょう。「銀行に行く」という言葉から、どんな行為を想像しますか?ほとんどの人は、ATMで現金をおろしたり、窓口でちょっとした手続きをするといったイメージを持つのではないでしょうか。
しかし、ライフプランニング業務が根付いたアメリカでは違います。「銀行に行く」とは、人生に必要な様々な資金計画について相談に行くことを意味します。お金を借りに行くわけではありません。
なぜ自分自身の人生の資金について、他人である銀行に相談に行く必要があるのでしょうか?それは、人生に必要な資金計画が、一人の知恵や知識ではカバーできないほど複雑で額も大きく、専門家のアドバイスがあった方が安心できるからです。これはアメリカに限ったことではなく、日本の場合でも、人生に関わる資金計画はとても重要なことです。

たとえば、みなさんが学校を卒業してからの一生に、どれだけの資金が必要になるのかをざっと試算してみましょう。資料1をクリックしてください。

資料-01

大卒後、平均寿命までの必要資金のモデルケース

ごく単純な試算ですし、見逃している資金もたくさんあります。それでも、みなさんのこれからの人生にはざっと3億円近い資金が必要となるのがわかります。これだけの資金をどのように確保し、充実した人生を送ればよいのでしょうか?そこで、ライフプランニングという仕事は、お金の専門家の立場からお客さまにアドバイスし、様々な金融商品で資産をつくるといったマネープランを提案する仕事なのです。

2)これからあなたに訪れる、5つのステージ

ライフプランニングという言葉の本来の意味は、人が生活する上での人生計画、生活プランを描くことです。それは、生きがいや生きる目的といった人生計画(ライフデザイン)と、人生計画を支える経済的な計画(ファイナンシャルプランニング)に分けられます。私たち銀行が行うライフプランニングは、主に資金計画を提案するファイナンシャルプランニングが中心です。

でも、それは、人の生きがいや人生の夢と密接につながっているのです。資料2をクリックしてください。

資料-02

これからあなたに訪れる、5つのステージ

それぞれのステージを充実して生きるためにどのような資金が必要なのかを見てみましょう。資料3をクリックしてください。

資料-03

ライフイベント

それぞれのライフステージに訪れる代表的な出来事をライフイベントといいます。たとえば念願のマイホームを持つ、家族で海外旅行をする、子供を大学に進学させる・・・など、ライフイベントとは人生の夢やビジョンそのものといってもいいでしょう。ライフプランニングとは、資金計画の提案を通して、お客さまの夢を実現する仕事ともいえます。

ライフプランニングにおいては、こうしたお客さまのライフステージにあわせた生活の組み立てやライフイベントごとの費用を考えることが不可欠です。その考え方の流れを簡単に示してみました。資料4をクリックしてください。

資料-04

ライフプランニングの流れ

この図にもあるように、ライフプランニングは所得の大小とは関係ありません。所得の少ない人は少ない人なりに、人生に必要な資金を作る方法や提案があります。一人一人に合わせた無理のないオーダーメイドの提案こそ、ライフプランニングの仕事には求められるのです。

3)お客さまの人生に残る仕事をしよう

ライフプランニングとはどんな仕事なのか、イメージできましたか?ライフプランニングとは、お客さま一人一人に合わせた資金計画を提案し、その人の夢や生きがいの実現をサポートする仕事です。それだけに、最適な資金計画を策定するための幅広い専門的知識が求められます。

たとえば住宅ローンや投資信託など銀行が扱う金融商品の知識、税金や不動産、年金、保険などの知識、必要な資金を的確に作るための資産運用の知識やスキル・・・。お客さまの人生に深く関わる提案をするのですから、ここまでの知識で十分、ということはありません。一人前の提案ができるまでには、数百時間の勉強と実務経験が必要でしょう。そんな努力の結果、いい提案ができ、お客さまから感謝されることが一番の喜びであり、この仕事のやりがいです。

以前、建設会社のCMで、「地図に残る仕事」というキャッチフレーズがありました。この表現を借りるなら、ライフプランニングは「お客さまの人生に残る仕事」です。

一人一人のお客さまに、長期にわたって人生のマネープランを親身になってアドバイスする。ライフプランニングの仕事をするなら、お客さまとそんな人間同士のおつきあいができる、“かかりつけの金融スペシャリスト”をめざしたいものです。

#Step02“リスク”の時代のお金の相談相手

ライフプランニングは、これまでなかった新しい銀行業務です。なぜ、最近になってライフプランニングという仕事が生まれたのでしょうか?このステップでは、ライフプランニングが求められるようになった社会的な背景について知っておきましょう。そこに、この仕事の“本質”があります。

1)なぜ、いまライフプランニング?

一人一人のライフステージに合わせた資金計画を提案する、ライフプランニングの概念はつかめましたね?でも、どうして最近になってこの仕事が必要とされだしたのでしょうか?ライフプランニングの重要性は、以前から変わらなかったはずなのに。
その理由は、人が生きていくための経済的なリスクが増大してきたからです。かつての高度成長時代、安定成長の時代であれば、このような問題はそれほど心配ありませんでした。しかし、バブル崩壊後の十数年で私たちを取り巻く環境は激変し、一人一人が生きていく上で、かなりの経済的リスクを背負う時代となったのです。そこで、様々な経済的な問題に対して助言を行い、その行動をサポートする仕事へのニーズが増したわけです。

ここ数年間に生まれた個人の経済的リスクについて簡単に説明しておきましょう。

保有資産の価格変動

個人が保有する資産には、不動産などの実物資産と、預貯金や株式などの金融資産があります。日本の個人の金融資産は総額で1800兆円といわれ、年収の2倍以上の金融資産を保有する人も珍しくありません。また、住宅を保有する人も増え、その資産価値はバブル経済期には時を追うごとに増えていました。

しかし、90年代のバブル崩壊により、こうした条件は大きく変わったのです。右肩上がりを続けていた不動産の価格や株価は下落し、住宅ローンの金額の方が住宅資産の金額より多い人も出てきました。また、金融機関の破たんも集中しました。そこで、2005年4月からは「無利息・要求払・決済サービスが受けられる」という3要件を満たす決済用預金のみが全額保護となり、それ以外は1金融機関ごとに預金者1人あたり元本1000万円までとその利息分が保護となりました(ペイオフの解禁)。たとえ十分な資産があっても安心できない、個人としては非常にリスクを抱えた状態になったのです。

しかしながら、成長性の低下した日本では、この保有資産の有効活用が豊かな暮らしを得るためのキーポイントになります。勤労所得が伸び悩む時代、過去の蓄積である豊かな個人資産をいかに活用して財産所得を得るかが重要になってきたといえるのです。

少子高齢化社会の到来

少子高齢化社会に伴うリスクとは、「長生きによる経済的負担」の増大です。日本の平均寿命は、過去35年間で10歳程度も伸びました。資料5をクリックしてください。

資料-05

平均寿命の推移とその伸び

一方、少子化で若い人の数は減少を続けています。そのため、これまで老後の引退生活を支えていた公的年金の支払いに問題が生じ始めています。昭和36年4月2日以降に生まれたサラリーマン男性の場合、年金を受け取れるのは65歳からとなりました。昭和16年4月2日以前に生まれた人、つまり平成13年4月2日以前に60歳になったサラリーマン男性は60歳から受け取れるのですから、この差は大きなものがあります。金額でいえば、平均的な収入の場合で計算すると、5年分で1000~1200万円もの差がつくことになります。

さらに、企業年金、公的年金の財政悪化に伴い、2001年10月から確定拠出年金企業型が、2002年1月からは個人型が始まりました。これらは日本版401kと呼ばれます。この制度は、簡単に言えば、企業や国にまかせていた厚生年金基金や公的年金の役割を縮小して、一部を個人にまかせるものです。上手に運用すれば、サラリーマンの場合、2000年の年金制度改正で20%削減となった厚生年金の減少分(5年で1000~1200万円)の半分位は補えると言われますが、自分でお金を運用していく制度ですので、「運用リスク」は個人が負うのです。

一方、長生きに伴う生活費・医療費・介護費などは増大しています。一般に高齢者の世帯当たりの生活費用は月24~26万円、ゆとりのある生活の場合は月38万円といわれます。年金が以前ほどあてにできない今、老後の経済的リスクは大きくなっています。

雇用の流動化

さらに、充実した人生計画の前提となるはずの雇用も、多様化してきました。個人が1つの企業に終身雇用される形態は、従来の日本型経営の特徴の1つといわれ、戦後の高度成長を支えてきました。
しかし、21世紀に入り、雇用の流動化は避けられなくなっています。日本型の終身雇用制では、新卒の個人を採用し、企業内の教育で技能を向上させていました。こうした投資を行った社員が長く企業に残ってくれるよう、若いうちは給料を低くして中高年になると多くするというかたちで、いわば給与と退職金を担保にとっていたのです。
しかし、経済のグローバリズムの影響や新興企業の台頭により、担保を返してもらう時まで会社が続く保証はありません。たとえ続いたとしても、毎年収入が増加する期待は持ちにくくなっています。個人にとってはリスクの高い時代になったのです。

2) “危険な道”を避けるためのナビゲーター

個人の経済的リスクの増大と共に、それを補う金融商品も多様化・高度化してきました。かつて銀行が扱っていた個人向け金融商品は、定期預金や積立預金、国債の販売程度のものでした。しかし、1994年に預金金利と住宅ローンの規制緩和が行われ、1998年には投資信託の窓口での販売が、2003年には生命保険窓口販売が始まりました。投資信託についてはこの後の講義で事例を通して説明しますので、ここでは概念だけをつかんでおきましょう。資料6をクリックしてください。

資料-06

投資信託の仕組みとポイント

投資信託(投信)とは、多くの投資家から集めたお金を1つにまとめ、運用の専門家である運用会社が株式や債券などを証券・金融市場で運用し、その成果を出資額に応じて投資家に還元する仕組みの商品です。ポイントは次の3つです。

●少額から投資が可能
●専門家による運用ができる
●分散投資が可能

などの特長があり、現在個人の資産づくりの主流となりつつあります。

現在は、こうした金融商品を個人が自分の判断で活用し、将来の経済的リスクを小さくする、いわば“自己責任”の時代に入ったのです。

しかし、多様化・高度化した金融商品を、個人が自分の知識だけで運用するのは難しいことです。そこで、銀行には単純な金融商品の販売にとどまらない、お客さまのよき相談相手としての機能が求められるようになりました。それがライフプランニング業務です。ここで資料7をクリックしてください。

資料-07

お客さまの金融商品購入の相談機能

一人一人のお客さまの考え方と人生計画を理解した上で、今後発生するであろう将来の経済的リスクを回避し、お客さまの「生きがい」「夢」を実現するためのコンサルティングを実施。そこにはお客さま自身の潜在的な(将来の)ニーズに合った金融商品・サービスの提案が求められます。高度化した金融商品とお客さまを結ぶのが、ライフプランニング業務の一面です。

開講式で、私は個人の経済的リスクを“人生の崖っぷち”の1つと表現しました。多様な金融商品をニーズにあわせて提案し、お客さまが人生の崖っぷちから離れるよう道案内をするのが私たちの仕事です。いわば、人生の“危険な道”を避けるためのナビゲーターといえるかも知れません。

3)いいお医者さんと、いいライフプランナーの共通点

多様な金融商品を道具に、お客さまの将来の経済的リスクを低減し、「生きがい」や「夢」を実現するコンサルティングを行う・・・。そんなライフプランニングの仕事を行うにあたりもっとも重要なことは、個人のニーズを徹底して聞き出すことです。ここで資料8をクリックしてください。

資料-08

ライフプランに対する健康診断

ライフプランニングと医師の仕事は、やはり似ています。将来のマネープランを相談するにあたり、お客さまは自分の主観的なプランを持っていることが多いのです。そんな一人一人の将来への展望やニーズをすべて聞き出し、客観的な評価を行った上で、良いところを伸ばし悪いところを治す最適な提案を行うことが求められます。いわば、個人のライフプランに対する健康診断です。

こうした“健康診断”を行うにあたり、大切なのはお客さま自身に自分の計画や夢について話していただける“問診力”でしょう。お金に関わる話は、他人にはなかなか話にくいものです。しかし、お客さまにそんな心理的な壁を取り払ってもらわなければ、お客さまの本当のニーズはつかめませんし、最適な提案もできません。お客さまに進んで話していただける信頼関係を作ることが必要なのです。

経験を積んだ名医が、自然に患者の症状について聞き出してしまうような、お客さまとの信頼関係。それを作るためには、金融に対する高い知識と、コミュニケーション能力が求められます。あまり難しく考える必要はありません。私の経験からいえば、たとえば泥棒に入られてお金を盗まれたお客さまに対し、盗難による被害は所得税・住民税の雑損控除の対象となり、確定申告をすればその年に納めた税金の一部が戻ってくるという話をするだけでも、十分に信頼関係は作れるものです。人生に関わる仕事だけに、ライフプランニングは、実に人間くさい側面を持っています。

#Step03 ファイナンシャルプランナーというスペシャリスト

お客さまのライフプランニングのよき相談相手として最適な提案を行うスペシャリスト。それがファイナンシャルプランナーです。ここでは、ファイナンシャルプランナーの銀行の中での役割を理解し、さらに個人資産の運用提案の演習にチャレンジしましょう。ライフプランニングの導入研修、いよいよ佳境です。

1)ファイナンシャルプランナーの2つの役割

ここまでのステップで、ライフプランニング業務の概要や役割はある程度理解できたと思います。ここからは、実際の業務に関わる本格的な研修に進みましょう。まず、ファイナンシャルプランナーに対する知識からです。

この講義に参加しているほとんどの皆さんは、ファイナンシャルプランナーという言葉を聞いたことがあるでしょう。ライフプランニングを前提に個人の資産管理、リスク管理、資産運用を総合的に助言するスペシャリスト、いわゆるファイナンシャル・プランニング技能士という公的資格者です。当行を始め多くの金融機関には、従来からこの呼称を持つ人たちがおり、土地保有者の土地活用や企業オーナーの事業承継といった仕事に携わってきました。現在では、徐々に金融商品を使った資産づくりの比重が増え、今では資産運用、年金、保険、不動産、税金、相続・事業承継といった幅広い知識が求められる職種へと変わってきています。つまり、ライフプランニング業務を中心となって担う職務が、ファイナンシャルプランナーなのです。

当行の場合では、ファイナンシャルプランナーをおおまかに2つの役割に分けて専門化を図っています。資料9をクリックしてください。

資料-09

ファイナンシャルプランナーの2つの役割

さらに、WMBより規模の大きな資産家などを対象とする職務としてプライベートバンカー(PB)があります。

詳しくは同じ個人向けビジネスの、「プライベートバンキング」をご覧ください。

この講座では、窓口に来られるお客さまを対象としたLAを中心に講義を行っています。ここでは、ファイナンシャルプランナーが行うライフプランニング業務にはWMB、そしてPBというさらにスケールの大きな展開もあり得ることを理解してください。

2)“銀行の看板”をはずした固有名詞の仕事

ファイナンシャルプランナーの仕事とは、専門的な情報と個人をつなぐ「情報の仲介者」となることです。たとえば、自分の将来について様々な不安に悩む人がいたとしましょう。こうした不安に助言を与え、道を示すことがライフプランニングの意義であり効果です。ファイナンシャルプランナーは、このようなライフプランニングに関する情報を噛み砕いて個人に提供する人なのです。この「噛み砕いて」という点が重要であり、また、専門家だからといって、一方的に「こうせよ」とは言えません。個人生活の金融面に関わることについては最終的には本人が自己責任で判断することです。だからこそ、ファイナンシャルプランナーは、本人の判断を助けるために、専門的な情報を誰にでもわかりやすく説明する必要があります。

前のステップで、ライフプランニングには徹底したニーズの聴取が重要だとお話ししました。それをもとに提案を行うファイナンシャルプランナーは、いわばお客さまとタッグを組んで人生の夢やビジョンを実現するお手伝いをします。それゆえ、ファイナンシャルプランナーは、◯◯銀行の従業員という看板をはずして、個人としてお客さまに評価されることが多い仕事といえます。

医師の世界には「セカンドオピニオン」という慣習があります。これは患者さんが一人の医師の意見だけでは心配な場合、他の病院を紹介するものです。銀行のライフプランニング業務が浸透すれば、同じような慣習が生まれるかも知れません。一人の意見だけでお客さまが納得しきれない場合は、他のファイナンシャルプランナーを紹介する・・・。そんな金融界の「セカンドオピニオン」の受け皿として、独立開業のファイナンシャルプランナーが今後数多く誕生することも考えられます。銀行の看板をはずした“個人の名前”が評価され、税理士や弁護士のように独立開業も可能・・・。ファイナンシャルプランナーは、まさに“自己責任”の時代の金融スペシャリストなのです。

3)10年後のあなたは、赤字か黒字か?

それでは、ファイナンシャルプランナーが行う相談業務について、より具体的に勉強しましょう。ファイナンシャルプランナーは、お客さまのニーズや人生のビジョンをもとに、様々な金融ノウハウを駆使した資産の運用提案を行います。こんな具合です。資料10をクリックしてください。

資料-10

ファイナンシャル・ゴールへ

実際に行うライフプランニングの流れを見てみましょう。資料11をクリックしてください。

資料-11

運用提案のフローチャート

この中で特に重要なのは、(1)の現状把握。前のステップでお話しした「ニーズの徹底した聴取」に当たる部分です。ライフプランニングの実務のほぼ半分は、現状把握に費やされるといっていいでしょう。その上で、夢や目的の達成を阻む問題点を見つけだし、それを解決する資産の運用や、ライフプランの見直しを提案するのです。

今の運用提案チャートを見て、「問題点をどうやって見つけだすのだろう」と思いませんでしたか?実は、現在から将来にわたる収入・支出や資産状況、いま考えているライフプランがわかれば、それを阻む問題点は意外と簡単に数値で割りだせるのです。この方法を、ライフプランシミュレーションといいます。資料12をクリックしてください。電卓があったら、手許に持ってきてくださいね。

資料-12

お客さまの現状把握

ライフプランシミュレーションを行うには、まずお客さまの現状や将来のライフプランを把握し、記入したシートを作成します。ここでは、上場企業にお勤めで昨年住宅を購入したAさん(35歳)を事例に取り上げましょう。ライフプランニーズの聴取からわかったAさんの顧客属性とライフイベントは次のようになります。

収入・支出の将来にわたる動きとライフイベントを数値化してシミュレーションしてみましょう。Aさんの未来はこうなります。資料13をクリックしてください。

資料-13

Aさんのライフプランシミュレーション

シミュレーションシートには、現状Aさんが考えているライフプランから予想される将来の収入・支出、毎年の税金や貯蓄投資額などを記入します。この表でいえば、

(実収入)-(支出+毎年の貯蓄投資)=年間収支

の関係です。ご自分でも電卓で計算してみてください。どうでしょう?2019年の自動車購入の時点で、Aさんの年間収支は保有する金融資産額さえ上回る赤字となることがわかりますね。私流にいえば、2019年に、Aさんは“人生の崖っぷち"に遭遇するのです。

さて、ここで皆さんに考えてもらいたい課題です。

課題1

今のケースで、Aさんが無事2019年に自動車を購入するにはどうすればよいのでしょう。あなたなら、Aさんにどんな提案を行いますか?

解答は、2講目の実地研修で明らかにします。

#Step04 “相談力”って、何だろう?

ライフプランニングにとってもっとも重要なのは、お客さまのニーズやライフプランに最適な提案を行うこと。そのための力を私たちは“相談力”と呼んでいます。導入研修の最後のステップでは、この“相談力”について理解を深めましょう。

1)ファイナンシャルプランナーに不可欠な力

“相談力”とは、ファイナンシャルプランナ-が仕事を行う上で不可欠なもの。お客さまとの間に信頼関係を築き、その人のライフプランに合わせた最適な提案をする力です。当行では、“相談力”を次のようにとらえています。

相談力=提案力×人間力

まず、ファイナンシャルプランナーには幅広い専門知識をもち、お客さまが抱えている問題や課題を解決できる能力が必要です。具体的には、資産運用、年金、保険、不動産、税金、相続・事業承継といった幅広い専門知識を駆使して、お客さまの夢やビジョンを実現するライフプランを構築し、提案できる力。これが“提案力”といえます。しかし、それだけでは十分ではありません。ことはお金や人生に関わる、とてもプライベートな問題です。ファイナンシャルプランナーとの間に信頼関係がなければ、お客さまは絶対に自分のこと、自分が考えていることを話そうとはしないでしょう。お客さまのことがわからなくては、ファイナンシャルプランニングはできないのです。では、信頼関係を構築するにはどのような力が必要なのでしょうか?それが2つめの力、“人間力”です。

2)知識だけではマイナスになる

たとえば、お客さまの課題を解決するために十分な知識をもっていたとしても、「こんなに知っているんだ」と言わんばかりに一方的に「知識の披露」をしてしまっては、聞かされているお客さまは興醒めしてしまうでしょう。また、知識があるのはわかるけど、「人の痛み」がわからずに「お客さまの気持ちになりきれない」ファイナンシャルプランナーは、やはりお客さまから信頼を得られません。知識やノウハウはあっても、お客さまから「どうもこの人には・・・」と思われてしまっては仕方がないのです。お客さまの問題や課題を「自分のこと」と捉え、親身になって考えられる力量。いいかえれば“相手を思いやる心配り”。それが“人間力”といえます。

“相談力”を構成する提案力と人間力の関わりを図にしてみると、こうなります。資料14をクリックしてください。

資料-14

ファイナンシャルプランナーに求められる力

提案できる知識(提案力)と相手を思う心配り(人間力)の相乗効果で、相談力が向上していくのはわかりますね。では、「マイナスの領域」とはなんでしょう?

3)ファイナンシャルプランナーの落とし穴

「マイナスの領域」とは、お客さまから嫌がられてしまう状態を指します。経験の浅いファイナンシャルプランナーが陥りやすい落とし穴です。「知識は完全だと思うのに・・・」「お客さまの立場にたって話を聞いているのに・・・」まったくお客さまが自分のことを話していただけないケースもあります。いくら知識をもっていても、いくら親身になっていても、それがどちらか一方だけではダメなのです。提案力と人間力、両方が揃わないと、相談力は資料14のチャートのようにマイナスの領域に陥ります。 ここで一番気をつけなければならないのは、「マイナスの領域がある」という認識をもつことです。その上で、十分な知識とノウハウをもち、常にお客さまの“痛み”を感じながら相談にのることで、お客さまとの信頼関係を築くことができるでしょう。また、太い矢印にあるように、「知識の向上」「人間的魅力の拡大」を常に図っていないと、すぐにマイナス領域に入ってしまいます。このように「向上心」も重要な力です。

提案力も人間力も目に見えないものですから、ここで皆さんが実感をもって理解するのは難しいでしょう。

ここでは、十分な知識と心配りが揃って“相談力”と覚えておいてください。それが具体的にどんなものなのかは、第2講目の実地研修で具体的に学びましょう。

終了

これで、導入研修は終了です。

いかがでしたか?銀行の個人向けビジネスの柱であるライフプランニング、そしてその仕事を担うファイナンシャルプランナーについて、その大枠がつかめたと思います。ここではそれで十分です。次の実地研修では、当行の実際の営業店に舞台を移して、実践的な知識やスキルを学びましょう。もちろん、私がご案内します。導入研修の講義をしっかり理解して、実地研修に備えておいてください。それから、課題も忘れずに考えておいてくださいね。

課題1

このようなライフプランを実行すると、2019年には赤字に転落するAさんがいます。

Aさんのライフプランシミュレーション (資料13をクリックしてください。)

資料-13

Aさんのライフプランシミュレーション

シミュレーションシートには、現状Aさんが考えているライフプランから予想される将来の収入・支出、毎年の税金や貯蓄投資額などを記入します。この表でいえば、

(実収入)-(支出+毎年の貯蓄投資)=年間収支

の関係です。ご自分でも電卓で計算してみてください。どうでしょう?2019年の自動車購入の時点で、Aさんの年間収支は保有する金融資産額さえ上回る赤字となることがわかりますね。私流にいえば、2019年に、Aさんは“人生の崖っぷち"に遭遇するのです。

Aさんが無事2019年に自動車を購入するにはどうすればよいのでしょう。あなたなら、Aさんにどんな提案を行いますか?