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1時限目 基礎篇

「e-ビジネスの“いま”を知ろう」

1時限目では、e- ビジネスを取り巻く市場やインフラ、政府の動きと、銀行の対応を習得していただきます。
講義が進むにつれて、これからのe-ビジネスに欠かせない視点が身についていくはずです。

興味深い実際の事例からスタートします。気楽な気持ちで講義に参加してください。

#Step01ECからe-ビジネスへ

ネットワークを使った銀行業務は、決済を主としたネットバンキングから、ネットワークを介した企業活動を支援する総合的な金融サービスへと広がっています。ここでは、従来型のEC(電子商取引)からネットワーク上のビジネスモデル作りへと変化する、銀行のe-ビジネスの概念を掴んでください。

1)ECに必要な機能とは?

まずは、ECを利用する個人や企業にとって、必要となる機能とはどんなものか、考えてみましょう。一般的には、取引を成立させる機能の他に、少なくとも4つの機能が必要だと考えられています。資料1をクリックしてください。

資料-01

ECに必要な4つの機能

このように、電子市場で取引を行う人にとって、決済、認証、与信などの機能が揃わなければ、安全で円滑な取引はできません。つまり、ECそのものを活性化するためには、総合的な金融サービスが必要になるのです。

2)銀行のこれまでの役割

これまでの銀行によるECへの取り組みは、いわゆるインターネットバンキングによる、振込・振替をはじめとする残高照会や口座の入出金明細の表示などの決済サービスが中心でした。例えば、当行における法人の振込件数は3億件/年、web21での給与振込は50万件/日など、膨大なトランザクションを支えています。電気や水と同じような重要なインフラを担っているのです。

しかし、現在では、企業がネット取引をスムーズに行うことができるよう支援するには、これまでのようなインターネットバンキング・サービスだけではなく、認証や与信などに関わる総合的な金融サービスの提供が重要になっています。

3)決済から総合金融サービスへ

ネットワークを介したバーチャルな商取引であっても、販売しているものは「リアル」の商品です。実際には、物流や代金の決済、与信など、現物の商品売買に必要なさまざまな機能が求められます。銀行やグループ企業が持つ機能を組み合わせるなどして、ネット取引で必要とされる機能やサービスを作って企業に提供することが、今や、銀行のECへの新たな取り組みとなっているのです。と同時に、これまで決済機能を中心にさまざまな機能を培ってきた銀行だからこそ、ECで求められる総合的な金融サービスの提供ができるのです。

この講義では、こうしたECへの取り組みを「eビジネス」と呼ぶことにします。ネットワーク社会のビジネスプランニングの仕事を、ステップを踏みながら理解してください。

#Step02e-ビジネスの浸透と拡大

2000年以降の「ネットバブルの崩壊」等幾多の困難を乗り越え、e-ビジネスは着実に進展してきました。ここでは、e-ビジネスを取り巻く環境の変化を学びながら、何が真のビジネスモデルなのかを考えていきましょう。

1)e-ビジネスの着実な進展

まず、資料2をクリックして下さい。

あらゆることがスピーディーに展開しているネットの世界では、ブームに火がつき、急速に拡大したビジネスもありますが、一方で当初有望と思われたビジネスが伸び悩むケースもあります。しかしe-ビジネスがもたらす社会の本質的な構造変化は着実に進展し、すでにe-ビジネスは日本のビジネスに深く浸透した社会インフラになっています。

資料-02

日本におけるBtoC EC市場規模の推移

2)e-ビジネスへどう対応してくか

eビジネスが日本のビジネスに深く浸透する中で、私たち金融機関はどのような対応が可能なのでしょうか。当行のネットビジネス・IT戦略を例に、全体像を見てみましょう。資料3をクリックください。

資料-03

当行および当行グループはこれまで蓄積してきたグループの総合力を活かし、インターネットバンキングのゲートウェイ「SMBCダイレクト」 (個人向けのお客さま向け)、「Value Door」(法人のお客さま向け)を核として、社会全体のネットワーク化への対応を積極化するとともに、新しいネットビジネスへの対応を進め、お客さまに安全性と利便性の高い決済、与信等のネットサービスを提供しています。

ここでひとつ分かることは、eビジネスにおいては、BtoBとBtoCがリンクしていることです。BtoBの取引においても、BtoCの視点が重要になってくるのです。

3)アイデアだけのビジネスモデルじゃダメなんだ

それでは、成功するe-ビジネスとはどのようなものでしょう?実はこの答を、私たちe-ビジネスに携わる者たちは常に追い求めています。ですから、本当の解答は、これから皆さんと一緒に作っていくことになります。ここでは、これからのe-ビジネスに必要な考え方を紹介しておきましょう。資料4をクリックしてください。

資料-04

ネットの時代は「消費者・購買者主権」の時代

多くの人がインターネットを駆使して様々な情報を入手できるいまの時代は、「消費者・購買者主権」の時代といえるでしょう。情報は、瞬時に、公平に伝わり、利用者は情報を自由に比較検討して自分にあったものを選ぶことができます。例えば、商品購入時には価格比較サイトで値段を比較してから購入する人が増えています。これからは、十分に比較されても最後に選ばれるような商品・コンテンツが必要であり、銀行のe -ビジネスにも、こうしたネットワーク社会の特性を常に心にとめて考える姿勢が大切です。

常に利用者を考えたビジネスモデルづくりが必要なことが理解できましたか?次のステップでは、e-ビジネスに利用されるインフラの変化について学びましょう。

#Step03 進化するe-ビジネスのインフラ

e-ビジネスを考えるための次のポイントは、インフラです。

e-ビジネスは、インターネットの普及に伴い、パソコンから携帯電話へと展開が進み、利用できる環境が拡大しました。更にはブロードバンドによる通信の高速・大容量化や、「iPhone」に代表されるスマートフォン、「iPad」等のデバイスの進化が新たなサービスを生み出し、e-ビジネスの可能性も大幅に拡大を遂げております。

このようにインフラの進化はe-ビジネスの新たな可能性を広げ、新しいサービスが生まれる契機となります。こうしたインフラの変化への銀行の対応を知り、さらに新たなインフラを駆使したビジネスを考察しましょう。

1)電話も重要なビジネスインフラ

e-ビジネスを考えるための次のポイントは、インフラです。

e-ビジネスは、インターネットの普及に伴い、パソコンから携帯電話へと展開が進み、利用できる環境が拡大しました。更にはブロードバンドによる通信の高速・大容量化や、「iPhone」に代表されるスマートフォン、「iPad」等のデバイスの進化が新たなサービスを生み出し、e-ビジネスの可能性も大幅に拡大を遂げております。

このようにインフラの進化はe-ビジネスの新たな可能性を広げ、新しいサービスが生まれる契機となります。こうしたインフラの変化への銀行の対応を知り、さらに新たなインフラを駆使したビジネスを考察しましょう。

資料-05

インターネットバンキングの3つの特長

また、取引金額、取引頻度の多さから当初はインターネット化が疑問視された法人向けサービスも、今や主力商品「パソコンバンクWeb21」を中心として急速に普及してきました。

資料6をクリックしてください。

資料-06

当行の法人向けインターネットバンキングへの取組

2)技術の進歩と共に広がる決済サービス

また、その技術の進歩と共に、新しい決済サービスも開発されています。その例として、ここでは「電子マネー」と「ケータイクレジット」の2つの例を紹介しましょう。

資料7をクリックしてください。

資料-07

ケータイクレジット「iD」

ケータイクレジットiDは、スマートフォンや携帯電話に搭載された非接触ICチップにより、端末機に携帯電話をかざすだけで、クレジットカードとして利用できるサービスです。「NTTドコモ」「三井住友カード」との提携により、普及をめざしています。

電子マネー「楽天Edy」

当行は次世代の決済サービスとして期待される電子マネービジネスにも取り組んでいます。「楽天Edy」は、非接触型と呼ばれるICカード型電子マネーであり、カードに電子マネーを入金した上で、コンビニエンスストアやファーストフード店で使えるようになってきています。内蔵したICカードの処理能力を活かしポイント制と携帯の連携を深めることでさらに便利なものにしていくことができます。

3)スマートデバイスの普及とe-ビジネス

2)でも少し触れましたが、スマートフォンの普及がe-ビジネスに大きな変化をもたらしています。現在、PCとスマートフォンのインターネット利用者を比較しますと、約58%がスマートフォンからの利用と言われています。つまり、企業はPCだけではなく、常に個人の行動と同期しているスマートデバイスへの対応を基本として考える必要が出てきているのです。

資料-8

インターネット利用端末の種類

#Step04 ネットワーク時代の銀行業務

1)e-ビジネスと法制度

これからのeビジネスを考える上で、ネットワークに関連する法制度の整備状況や政府の電子化の動きに留意する必要があります。

政府のネットワーク社会への対応は、まず法制度の整備から始まりました。これまで消費者保護などの観点から法律で交付が義務付けられていた文書の電子化を、一部の例外を除いて認めることにしたのです。これが2001年4月に施行された「書面一括法」です。

同じ2001年の4月、e-ビジネスにとって重要なもう一つの法律「電子署名法」も施行されました。これは、いわば"電子の実印"を認める法律です。このように、「電子署名法」そして「書面一括法」は、これまで紙の文書に限られていた情報のやりとりを円滑にし、BtoBやBtoC取引を活性化する効果を持っています。

資料-9

電子署名発行の仕組み

2010年4月には「資金決済法」が施行し、これまで銀行にしか認められなかった為替取引(送金業務)を一般企業が行うことが可能となりました。また、2015年7月には「マイナンバー法」も施行され、法人、個人のお客さまそれぞれに個別のマイナンバーが配布されました。こうした政府の法制度の動きやIT化政策の動きは、私たち銀行の業務にも大きな影響を与えることになります。

資料-10

我が国のIT戦略の歩み

2)電子認証業務が、これからのビジネスを元気にする

STEP4で学んだ政府の動きは、ビジネスに関わる様々な手続きをインターネットを駆使して効率化することで、B to BやB to Cの取引を活性化し、ひいては日本経済を元気にする目的を持っています。しかし、これまでのネット取引には、解決すべき大きな問題点がありましたね。STEP2を思い出してください。そうです、ネットワーク社会では相手の顔が見えないことこそが問題です。この点を解決するのが電子認証なのです。

電子認証とは、前のSTEPで勉強した一定の法的な効力を持つ電子署名を認証する業務です。電子認証局が発行する電子的なパスポート(電子証明書)を使うことで、銀行は電子署名の署名者が誰なのかを特定し、認証することができます。こうした銀行の電子認証機能を提供すれば、インターネットの匿名性に関する問題は解決できます。さらに、与信、回収、海外送金などの複合的な金融サービスを提供することで、ネットを介したB to BやB to Cの取引は大きく促進されるでしょう。

3)ネットワーク化で広がる新しいビジネス

この数年間に普及が進んできた新しい決済サービスとして、「EBPP(エレクトロニック・ビル・プレゼントメント・アンド・ペイメント)」と呼ばれるプロジェクトがあります。資料11をクリックしてください。

資料-11

EBPPの仕組み

EBPPとは、簡単にいえば電子請求書のネット払いのこと。税金や公共料金などの請求をインターネットで送付し、画面でそれを見た人がクリックするだけで口座からお金が支払われる仕組みです。「Pay-easy(ペイジー)」の名称で様々な料金の支払いに使われております。

これにより、消費者や企業は、ATM、電話、パソコン等から、税金、公共料金の支払いが可能となりました。当行でも「SMBCダイレクト」や「パソコンバンクWeb21」を利用して、インターネットで税金等の支払いができます。2015年5月の「Pay-easy」の月間取扱件数は805万件、取扱金額は1.2兆円弱と、過去最高の取扱となっており着実に普及しています。

また、最近の注目すべき動きとして「電子記録債権法」が2008年12月に施行されました。資料12をクリックしてください。

資料-12

電子記録債権のフロー

電子記録債権とは簡単に言えば債権債務を電子化し、転々と流通しやすくする機能を持たせた「電子手形」のようなものです。これは主に、中小企業などが保有している売掛債権を有効活用すべく、これを売却して資金調達が出来るように、産業金融強化の観点から検討してきたものです。

この制度の実現により、銀行にとっても、債権流動化ビジネスの益々の増大、電子記録債権の記録手数料など、新しいビジネスが生まれることが考えられます。当行では、この電子記録債権に対応するために、2010年7月6日に全額出資の子会社(SMBC 電子債権記録株式会社)を開業し、当行はこの子会社を活用して、中小企業(仕入先)が大企業(支払企業)に対して保有する売掛債権を、電子記録債権化して買い取る電子記録債権版一括ファクタリングサービスの提供を行っています。

また、2012年5月に全国銀行協会が『でんさいネット』を開業し電子手形サービスの提供を行っています。

4)銀行のe-ビジネスの本質を考えよう

これからの銀行のe-ビジネスの本質は、"みんながうまくいく仕組みを作ること"です。ネットワークに参加するすべての人や企業が、おたがいに何らかのカタチでメリットを享受できる。そんなWin-Winの仕組みを作るのが、これからの銀行のe-ビジネスなのです。

ネットワーク参加者が受けるメリットには、さまざまなカタチがあります。コストの低下やサービスの向上、便利さ、取引のスピードアップ・・・決済や与信、電子認証などの金融機能を駆使して、これらのメリットを安心して享受できる仕組みを作るのは、銀行だけにできる仕事です。いわば、" ネットワーク社会がうまくいくためのビジネスプランニング” ―それが私たちのe-ビジネスといえるでしょう。

1時限目では、こうしたe-ビジネスの本質を理解してください。その上で、2時限目では当行の実際のe-ビジネスについて講義します。

まとめ

これで1時限目の講義は終了です。

「e-ビジネス」について理解できましたか?ここ数年で、EC(電子商取引)の姿はずいぶん進化しました。これにあわせて、私たちの銀行の役割・仕事も大きく変化しているのです。次の時間では、実際に私が勤務する当行の決済業務部へご案内します。1時限目の講義をしっかり理解して、2時限目もがんばって受講してください。