• SMBC
  • SMBCグループ
MENU
法人向けビジネス
企業の育成支援
決済リテール・ホールセール業務ゼミ
HOME > 企業の育成支援 > 2時限目
2時限目 セカンドステージ

「株式公開支援講座」

前回の講義はいかがでしたか?ベンチャー企業の意義や、その発掘・育成の具体策について理解できたでしょうか。また、課題1は考えてきてくれましたか?今回はいよいよ、「株式公開」について講義します。がんばって受講してくださいね。

私、吉田が担当する「企業の育成支援」ゼミも2時限目。前の時間には、ベンチャー企業の定義から、日本の産業界にとっての意義、そして発掘・育成の具体策までを勉強しました。2時限目では、企業の育成支援の次のステージ「株式公開」支援について講義を進めます。「マザーズ」などの新興株式市場についても勉強しますよ。順を追って受講して、最新の「株式公開支援」の基礎的な知識を身につけてください。それでは、2時限目の講義を始めましょう。

#Step01「株式公開」ってなんだろう?

まず、企業の成長ステージの中での「株式公開」の意味と、企業活動にとってのメリット、そしてデメリットを理解しましょう。

1)「株式公開」(注)は、いわば企業の成人式

(注)会社法において公開会社とは、発行する全部または一部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設けていない株式会社をいいますが、以下の講義で「株式公開」は一般的となっている、「株式上場」という意味で使用しています。

「株式公開」とは、簡単にいえば企業が株式を発行し、株式市場で売買して資金を調達することです。企業の成長を人の一生にたとえれば、「株式公開」とはまさに成人式にあたるイベント。この成人式に参加できるのは、社会の荒波を乗り越えてきた強い企業だけです。ここにおもしろいデータがあります。資料1をクリックしてください。

資料-01

企業の成長曲線モデル

1時限目のSTEP1でも登場した企業の成長曲線ですが、取引所やジャスダックなどの従来市場への上場までの平均的な時間モデルを加えてあります。一般に、企業の寿命は平均30年といわれ、ほとんどの企業は上場にいたらずに一生を終えます。ジャスダック上場まで平均28年、取引所上場までは平均38年もかかっており、「株式公開」のステージに達するのは、競争力をもった強い企業だけであることがわかります。

企業の成長初期において、株主はみな経営者とその一族で占められることが一般的です。つまり、経営と資本が一体化した私企業の性格をもちます。一方、企業が「株式公開」を果たせば、株式は市場で売買され、株主にも外部の人間や企業が加わります。「株式公開」とは、資本を社会から広く集めることで経営と資本を分離する意義を持つのです。つまり、個人が所有する企業から、社会が共有する企業に脱皮するのが「株式公開」。まさに企業の成人式といえます。

2)「株式公開」のメリット、デメリット

「株式公開」すると、企業にはどんなメリットがあるのでしょう?まず資金調達の多様化があげられます。企業が事業資金を調達するためには、「株式公開」以前は銀行などからの借入を中心とする間接金融が主な方法です。「株式公開」により公募増資や起債を行うことで、市場から直接資金を調達する直接金融が可能になります。また、株式を公開するのは強い企業の証しといえますから、社会的な信用力や従業員のモラルアップにも役立ちます。取引や日常業務が、より活性化するわけです。

一方、「株式公開」によるリスクやデメリットもあります。まず、自社の株式を誰もが買えるようになるため、株式買収によるM&AやTOBの危険にさらされるのです。TOBとは聞き慣れない用語でしょう?意味を知りたい人は資料2をクリックしてください。

資料-02

TOB

株式の公開買付。企業を買収したり、経営権を握るため、株式の買取り希望者が買付期間、株数、価格を公表して不特定多数の株主から買取ることです。通常は友好的な企業買収で行なわれることが多いM&A手法ですが、最近、日本でも敵対的なTOBも増えています。

M&AやTOBでは、すぐれた市場競争力をもつ企業ほどターゲットになります。ですから銀行が「株式公開」を支援する際は、こうしたリスクを考慮した資本政策を提案することが重要になるのです。また「株式公開」においては、投資家に対し求められる経営情報開示(ディスクロージャー)のための事務コストや人的労力も無視できない負担となります。

次は「JASDAQ」や「マザーズ」のお話です。

あなたも、聞いたことがあるでしょう?

#Step02「新興市場」の基礎知識

「JASDAQ」や「マザーズ」などの新市場の創設は、株式公開の新興市場として、特にベンチャー支援のために大きな意味をもちます。日本の産業や経済を変える可能性を秘めた、新興市場について学びましょう。

1)“株式市場が降りてきた?”

STEP1で勉強した公開市場に加え、最近は「新興市場」と呼ばれる新しい株式市場がいくつも誕生しています。みなさんも聞いたことがあるでしょう。東京証券取引所内の「JASDAQ」「マザーズ」などです。また、札幌証券取引所には「アンビシャス」が設けられ、福岡、名古屋の取引所にも同様の新興市場が開設されています。(ここにきて、株式市場の低迷が続いていますが)中長期的には企業の株式公開意欲は旺盛であり新興市場の誕生は、企業の育成支援業務にとって大きな意味をもっています。資料3をクリックしてください。

資料-03

レイターからミドルへ

従来の企業の育成支援には、企業の成長曲線におけるアーリー期の「ベンチャー支援」、レイター期の「株式公開支援」の2つの業務がありました。しかし、新興市場の登場により、2つの業務が接近しています。新興市場は、従来の株式市場と異なり、企業の将来性、発展可能性を上場の指針とする傾向があります。従来の株式市場では公開が難しかったベンチャー企業でも、新興市場でなら可能になったのです。

新興市場の登場によるこの動きを、私たちは“株式市場が降りてきた”と表現しています。新興市場の活用は、「株式公開」と一体化したベンチャー支援のために不可欠となりつつあります。

2)JASDAQとマザーズ

それでは、「JASDAQ」と「マザーズ」を例に、新興市場とはどのようなものかをもう少し勉強しましょう。

資料4をクリックしてください。

資料-04

2つの新興市場の違い

1) マザーズ

1999年11月に東京証券取引所に開設された新興市場。「高い成長の可能性を持つ新興企業の資金調達を円滑にし、新たな産業の育成に資するとともに、投資者に多様な投資物件を提供すること」を目的にするため、成長途上にある企業が容易に上場できるシステムとなっています。また、従来東証二部への上場審査は、上場審査は少なくとも最短で3 ~ 4 カ月を要していましたが、マザーズでは申請から約2カ月で上場が対外発表されます。

公開基準は緩やかですが、上場審査や上場後のディスクロージャー開示には重点が置かれています。

2) JASDAQ

2010年10月12日に、大阪証券取引所が開設する旧ヘラクレス、旧NEO、旧JASDAQ市場が統合し生まれた市場。2013年7月16日に、大阪証券取引所の現物市場が東京証券取引所に統合されたため、現在は東京証券取引所の下に置かれている。新JASDAQ市場では、一定の事業規模と実績を有し、事業拡大が見込まれる企業群を対象とした「スタンダード」と、特色ある技術やビジネスモデルを有し、将来の成長可能性に富んだ企業群を対象とした「グロース」の2つの市場区分を設けています。

2つの新興市場の概要がつかめましたか?いずれもベンチャー企業には株式を公開しやすい市場ですが、その性格は異なります。株式公開を望む企業は、ニーズや事業の性格によって自らにふさわしい市場を選ぶべきでしょう。それでは、この例題を考えてください。

【例題】

たとえば次のような企業は、「JASDAQ」と「マザーズ」のどちらの市場に上場するのが適当でしょうか?

a) 事業規模は小さいが、潜在成長性に富んだ企業
b) 将来一部上場をめざしている企業

答がわかった人は、資料5をクリックしてください。

資料-05

例題の答

a)JASDAQ

JASDAQのグロース基準は、時価総額、利益、純資産のいずれかの基準を満たしていれば登録基準を満たします。

b)マザーズ

上場審査の内容にはマザーズと既存市場とでは共通点が多く、東証上場企業としての実績が考慮されるため、将来の東証一部・二部審査において優位です。

3)企業の将来性・成長力を「買う」新興市場

従来の株式市場は、企業の安定性が公開の前提でした。しかし、新興市場は企業の将来性・成長性に公開基準を変えています。技術の独創性や事業の新規性を武器とするベンチャーにとって、新興市場は資金調達の最適の舞台といえるでしょう。一方、新興市場には、将来性・成長性と裏腹の投資リスクも存在します。つまり、ハイリスク/ハイリターンが新興市場の特徴。幅広くリスクマネーを集めるのが新興市場ということができます。

最後に、新興市場の株式公開基準について、参考として紹介しておきます。

資料6をクリックしてください。

資料-06

新興市場の株式公開基準比較表(抜粋)

次は、いよいよ銀行の株式公開支援スキームです。

#Step03銀行ならではの株式公開支援策

銀行が行なう株式公開支援について、まずその概要を学びましょう。さらに証券会社の業務との違いを理解することで、銀行の株式公開支援の目的が見えてきます。

1)株式公開支援は、企業価値を高めるミッション

銀行の株式公開支援の特長は、顧客の企業価値を高めるための手段の一つであるという点です。株式公開はけっして企業の最終目標ではありません。そんな前提に立ち、顧客の経営課題の一つとして相談にのるのです。銀行の視点から見れば、株式市場での直接金融という資金調達手段を加えることで、顧客の信用リスクを少なくするというメリットもあります。また、その企業のさらなる成長のチャンスを支援することで、これからのつきあいの芽を作るという側面も見逃せません。銀行の株式公開支援は、さまざまな顧客ニーズを解決するソリューションビジネスの一環であることをまず理解してください。

2)銀行の総合力をフルに活かした支援スキーム

銀行の株式公開支援スキームは、ベンチャーの発掘・育成と同様、グループ企業の総合力をフルに活用します。

資料7をクリックしてください。

資料-07

株式公開支援

銀行のグループをあげた支援策の中で特に重要となるのは、株式公開アドバイスとコンサルティング業務です。まず、株式公開アドバイスについて講義します。

株式公開アドバイスから証券印刷などのバックヤードまで、実に幅広い支援策があることがわかりますね。特に重要な株式公開アドバイスやコンサルティングについては、次のSTEPでくわしく講義します。ここでは支援スキームの大ワクについて知っておきましょう。

3)証券会社とは、どこが違う?

株式公開支援は、株式市場での主幹事となる証券会社の仕事でもあります。それでは銀行が行なう支援策は、証券会社の業務とどこが違うのでしょう。

それは、証券会社は株式公開そのものを大きな目的としますが、銀行にとっては企業との長いつきあいの通過点にすぎないという点です。株式を公開した企業の主幹事となれば、証券会社は多額の手数料を得ます。しかし、銀行は明確な対価は手にしません。企業のいい形での成長を支援し、今後のつきあいの中で利益を得ることが銀行の目的ですから、場合によっては公開を止めるようアドバイスすることもあります。

銀行の目的は、株式公開によって企業の価値をより高めること。そんなソリューションビジネスとしての側面 を理解した上で、具体的な支援策を勉強しましょう。

株式公開支援において、銀行は具体的に何をするのでしょうか?

課題1の解答も明らかにします。

#Step04カネ、知恵、ヒトの3つのポイントを支援する

株式を公開することで企業価値を高める---そんな目的に向け、銀行はグループ企業の様々な機能を動員します。総合的なソリューションビジネスとしての、株式公開支援の醍醐味にふれてください。

1)まず、重要なのは資本政策

それでは、銀行の株式公開支援の具体的なスキームについて勉強しましょう。

再び資料7をクリックしてください。

資料-07

株式公開支援

銀行のグループをあげた支援策の中で特に重要となるのは、株式公開アドバイスとコンサルティング業務です。まず、株式公開アドバイスについて講義します。

株式公開アドバイスとは、その企業の売上規模を考えた公開までの経営計画、そして公開する株の配分などの“資本政策”を中立的な立場でアドバイスすることです。公開までの経営計画とは、公開をめざす時期を設定し、どれだけの利益をあげ続ければ公開できるかを考えること。それを実現する中長期のビジネスプランについてもアドバイスします。通常3~5年といった息の長いおつきあいになりますから、顧客企業と密接なリレーションをもつ銀行にしかできない支援業務です。

また、資本政策とは、株式公開を想定して行なわれる株式発行や株式移動などの対策です。たとえば、発行する株式の総数の中で、経営者がどれくらいの株数を保有し、市場ではどれだけ売買するかを考えることも資本政策の一つ。実はこの業務が、時に企業の運命を決することもあります。ここで、1時限目に出題した課題1の解答を考えましょう。こんな問題でした。

【課題1】

いま、ベンチャー期を終え、「株式公開」のステップへ進もうとする企業があります。発行済株式数が600万株の場合、この企業が公開後も、経営安定化を図るために一般に必要といわれる安定株式数は何株以上でしょう。ヒントは、会社法に定められた「特別決議」です。六法で調べてみてください。

株の配分という資本政策に関わる問題であることがわかりますね。「特別決議」については調べましたか?

調べられなかった人は、資料8をクリックしてください。

資料-08

特別決議

株主総会における特定の重要事項の決議は、発行済株式総数の過半数にあたる株式を有する株主が出席し、その出席株主の議決権の3分の2以上にあたる多数をもって決します(会社法309条2項)。

特定の重要事項の決議には、事業の譲渡が含まれます(会社法467条1項)。

特別決議の意味がわかりましたね。その上で課題1の解答を考えてください。

答が出た人は、資料9をクリックしてください。

資料-09

課題1の解答

公開会社の場合、3分の2以上の株式を特定の株主に保有されると、株主総会で特別決議による営業の譲渡が可決される怖れがあります。株式を公開し、市場で流通させてしまった以上、TOBなどによる意図的な株式の買い占めのリスクは常に存在するのです。営業の譲渡が可決されてしまえば、企業は乗っ取りやM&Aから逃れる術はありません。こうしたリスクを回避する安定株式数は、600万株の3分の2の400万株以上です。

課題1の場合、1株を100円とするなら、この企業は自社株の3分の1程度が市場で売買されることになります(浮動株)が、実際には創業者が放出する株式がこの内約50%を占めるので、いわゆる市場からの調達(公募)部分は1/3×1/2=1/6になります。したがって、調達額は100百万円になります。この例からわかるように、資本政策は株式公開にともなうリスクを未然に回避する提案でもあります。

2)”企業のブレーン”として万全の体制を敷く

株式公開支援のもう一つの柱であるコンサルティングは、系列のコンサルティング会社と連携して、社内体制整備の支援などを行うことです。

ジャスダック市場などに株式公開を申請する際は、経営戦略、利益計画などはもちろんですが、コーポレートガバナンスやコンプライアンスなどのリスク管理に関する資料も数多く求められます。職務権限・職務分掌規定、稟議規定などの組織規定や、部門・業務ごとの業務規定と業務マニュアルにより、適切な内部統制が行われているかなどがチェックされることになるのです。

急成長を遂げた企業は、その成長に組織の整備が追いついていないケースも多く、厳しい公開審査に耐え得るよう、こうした社内体制の整備についてコンサルティングを行います。

一方、「株主重視」の経営が求められる株式公開企業ではIR(Investor Relations)は最重要課題の一つです。また、その最終目的は「企業価値の向上(総額増大)」です。当行では、系列コンサルティング会社と連携し、「企業価値向上」の視点に基づいたIRコンサルティングを実施し、「投資家との関係基盤作り」のバックアップを行います。

2時限目も、次のステップでいよいよ終了。

銀行の狙いを少しだけ教えましょう。

#Step05銀行の「株式公開支援」の本当の狙い

株式公開支援には、目先のビジネスにとどまらない、将来をにらんだ銀行の戦略があります。株式公開を支援する銀行の狙いを知っておきましょう。

1)それは、成長企業との将来の“絆”の構築

株式公開支援は、銀行のソリューションビジネスの一つと位置づけられます。企業経営の根幹から生まれる株式公開というニーズをグループ企業を駆使して解決し、企業との今後のおつきあいを更に発展させる業務といえます。その意味について、もう少し深く解説しましよう。

「マザーズ」や「JASDAQ」などの新興市場の開設により、企業の株式公開までのスピードは大きく加速しています。株式を公開した企業は、直接市場からの資金調達が可能となり、銀行などからの間接的な調達のニーズは相対的に低下するといえます。よって、株式公開の準備段階から時間をかけて企業を支援し、いいパートナーシップを築いておかないと、銀行と企業のおつきあいは希薄になってしまう畏れがあるのです。もちろん銀行としては、企業の株式公開は、大きな転換期といえども成長過程における一つの通過点であり、その後も企業が順調に成長していくことを前提に、永遠にわたるおつきあいを考えています。そのため、株式公開支援は将来のお取引の“絆”を強くするための、銀行の戦略から生まれた業務といえます。

2)分かれた支援より、一つの支援

こうした狙いをもって、銀行はグループ企業の機能を動員した支援スキームを推進しています。そのメリットとして、これまでパーツに分かれていた支援策が、銀行が司令塔となってコントロールすることでより効果的になったことがあげられます。

資本政策やコンサルティング、証券会社などの紹介といった業務が一つの流れになることで、企業の実情に即して株式公開に向けたソリューションを提供することができるようになったのです。特に、新興市場に上場を図る若い企業にとっては、銀行グループの総合的な支援は大きく役立つでしょう。

3)どこまでパートナーになれるかが勝負

成長企業との“絆”を深める株式公開支援には、その企業のパートナーとなることが不可欠です。常に経営の課題を一緒に考え、その企業には本当は何が必要かを洞察し、解決する。そんないつも身近にいるパートナーとなってこそ、企業は株式公開、いうなれば“成人式”を銀行と一緒に行う気になるのです。そのためには、企業と日常的におつきあいをする営業店の果たす役割が非常に大きいものといえます。企業の育成支援とは、本部セクションの専門家たちだけの仕事ではないということもよく理解しておいてください。

銀行の「株式公開支援」の基礎について、理解できましたか?3時限目では、「ベンチャー支援」と「株式公開支援」が融合した、これからの「企業の育成支援」について学びましょう。それでは、次の時間まで考えておいてほしい課題を出します。

課題2.ここに2つのベンチャー企業があります。
A社. 次世代携帯電話の積層セラミックコンデンサを開発・製造

  (問題点:多額の研究開発投資が必要)

B社. ローコストオペレーションを可能とした中古書籍の専門店チェーンを展開

  (問題点:ビジネスモデルとしては単純で模倣されやすい)

あなたが企業の育成支援担当者なら、より将来性のある取引先としてどちらの企業を支援しますか?その理由も含めて考えてください。なお、A社とB社の事業は、どちらも現時点では競合企業がないものと仮定します。

まとめ

これで、2時限目の講義は終了です。

株式公開支援の具体的な手法や、銀行にとっての意義、そして新興市場について理解できましたか?特に課題1については、法学部の人が有利だったかも知れません。法学部以外の人も、これを機会に会社法について勉強してください。次の時間は、「ベンチャー支援」と「株式公開支援」が融合した、これからの「企業の育成支援」について学びます。銀行の専門家が明かす初公開の事例もありますよ。がんばって受講を続けてください。

課題を、忘れずに考えておいてください。

【課題1】

ここに、2つの新興企業があります。

A社.次世代携帯電話の積層セラミックコンデンサを開発・製造

(問題点:多額の研究開発投資が必要)

B社.ローコストオペレーションを可能とした中古書籍の専門店チェーンを展開

(問題点:ビジネスモデルとしては単純で模倣されやすい)

あなたが企業の育成支援担当者なら、より将来性のある取引先としてどちらの企業を支援しますか?その理由も含めて考えてください。なお、A社とB社の事業は、どちらも現時点では競合企業がないものと仮定します。

答は、3時限目で。